橋口を追ううちに、阿久津は被害者の中に、かつての恋人美和子がいることに気付く。偶然を装って美和子と接触した阿久津は、彼女の口から橋口への想いを聞かされる。美和子さえも騙しきったかに見えた橋口には、しかし捜査の手が確実に伸びていた-。騙す男、貢ぐ女、追う刑事の息詰まる攻防を緻密な筆致で描き切った、乃南ミステリの代表作。