東使左馬之助は、左手で佩刀の鯉口を切り、姿をあらわした敵を横目で睨みながら、足先で地面をさぐった。…やっぱり本藩の討っ手が来たのだと、左馬之助はさとった。-幕末風雲のなか、紀州藩を脱藩した若者が、おのれの剣技一筋に、勤皇・佐幕激突の間、を颯爽と生きぬく姿を描く歴史長篇。