通勤電車の網棚から由紀子がふと手にとった一冊の文庫本。頁をめくると、中には一枚の名刺が挾み込まれていた…。本をきっかけに、普通のOLが垣間見た男女関係のもつれを描く「歪んだ鏡」。遺された本から父親の意外な素顔が浮かび上がる「黙って逝った」。そのほか表題作を含め、東京下町の古書店を舞台に本にからむ人間模様を描く連作ミステリー。