慶長五年、関ヶ原合戦。敗色濃厚な西軍に与しながら薩摩島津だけがなぜ領国を守り抜けたのか。薩摩の太守・島津義弘、ときに六十六歳。九州制覇、七年に及ぶ文禄・慶長ノ役、戦さの一字に刻まれた彼の後半生に寧日はなかった。百二十年余もつづいた戦時景気はしぼみ、未曾有の戦後不況が猛威をふるう前夜。日本が東と西にわかれ、戦国期最後にして最大の、生き残りをかけた大戦がいままさに火蓋を切らんとしていた-。著者畢生の大作と呼ぶにふさわしい歴史巨編。