美しい森の中で大自然に帰るように死ぬ-という幻想が、人人を青木ヶ原に引き寄せる。しかし現実には、遺体を野ざらしにする死に方は、列車へ飛び込んだ轢死体と何ら変わりないむごい姿をさらす。変死体解剖三十四年の経験をもつ著者が、樹海で白骨化した死体の語る真実、首つり自殺の落とし穴、一酸化炭素中毒の恐怖、家族の苦渋など、自殺死体から読みとったメッセージを明かし、自殺大国となった日本の現状に警鐘を鳴らす。