はじまりは、瓶の音だった。夜の庭に響く、聞こえるはずのない音。中一の春。新しい町で幸せに過ごしていくはずだったのに、いつしか家の中には険悪な空気が流れ、そしてある夜、それは哀しい空気へと変わってしまった。なす術もなく立ちつくすあたしの前に現れた、不思議な雰囲気をもつ人。彼が教えてくれたことは…。心に染みる、せつなく美しいファンタジー。