1994年に「児童の権利に関する条約」が批准され、我が国においても、教育のボーダレス化は、もはや避けようのない事態であると言える。そのことにいち早く気づき、独自の教育理論を展開させたのが、本書の著者の祖母であるマリア・モンテッソーリであった。教育を一国の問題として放置しておいてはならないことは、貧困や飢餓、虐待、あるいは戦争の犠牲者となっている世界中の多くの子どもたちの状況を見ればわかるであろう。また、健やかな成長を実現するためには、人間発達の普遍的原理にそった教育が不可欠であるということもマリア・モンテッソーリの主張であった。著者は、偉大な祖母の遺志を受け継ぎ、複雑化・多様化する社会の中での教育の進むべき道について思索し、21世紀にモンテッソーリ教育が果たすべき役割について説く。