危機に直面した地域のコミュニティや環境の悪化した都市の周辺、衰退する中心市街地などに、必要に迫られて「まちづくり組織」が生まれ、退勢を挽回しようと自律的な活動を展開してきた。それはNPO(ノン・プロフィット・オーガニゼーション)やTMO(タウン・マネジメント・オーガニゼーション)という新しい組織形態を取っているだけでなく、行政区や町内会といった古くからの住民組織や行政内部に育まれた同志的な小集団など、多様な形態をなしている。本書では、このような「まちづくり組織」の形成過程を当事者からの直接のインタビューに基づいて構成すると共に、合意形成の場、共同規範による組織運営、ネットワーク的結合などに着目して、その組織としての特質を浮き彫りにしようと試みた。