◆本書の概要――「新版 序にかえて」より 『視覚障害児・者の理解と支援』の新版を刊行することとなりました。旧版では,視覚障害の教育よりもリハビリテーションに少し重きを置いていましたが,新版では,2007年からスタートした特別支援教育が大きく展開してきていることから,特別支援教育とその中の自立活動の比重を少し重くするなど一部を大きく改編して書き加え,総体的によりわかりやすい表現としました。 本書は,・・・専門家から一般の人たちまでを対象として,・・・視覚障害児・者に対する適正な理解と求められる指導・支援の内容・方法を総論的,基礎的に論述したものです。障害者の心理と教育は不可分の関係にあるため,本書は視覚障害の心理と教育を含めた総合的な「視覚障害学」といえる内容となっています。・・・ 視覚障害の教育・リハビリテーションをより充実させていくためには,視覚障害に対する理解の教育・啓発と指導・支援についての普及と向上が欠かせません。・・・特別支援教育に関わる教職員は,学校在学中の視覚障害児に対する教育にだけ焦点化するのではなく,卒業後の就労や地域生活などその後の社会との関わりも念頭に置いておく必要があります。・・・ そこで,本書では,視覚障害の意味(第1章),視覚障害者の指導・支援としての総論(第2,4章)と各論(第5,6,8章),そして心理面(第3章)だけでなく,障害理解や社会との関連にも着目して解説しています。そのため,視覚障害者の指導・支援として重要な手引きによる歩行の考え方・方法・指導法(第9,10章),視覚障害者の理解に不可欠な疑似障害体験の考え方と方法(第11章),総合的な社会の障害者に対する理解の現状と適切なあり方(第12章)を取り上げています。また,視覚障害者にとっては,未知環境と既知環境ではその活動能力の発揮に大きな差異があることから指導・支援の基本として大切でありながら,これまでふれられることがほとんどなかったファミリアリゼーション(未知を既知とするための説明,第7章)についても論じています。
◆目 次 新版 序にかえて 第1章 視覚障害の概念 第2章 視覚障害の教育とリハビリテーション 第3章 心理リハビリテーションと心理的ケア 第4章 自立活動と生活訓練 第5章 歩行(定位と移動)とその指導 第6章 コミュニケーション・日常生活動作とその指導 第7章 ファミリアリゼーション 第8章 弱視(ロービジョン) 第9章 手引きの考え方と指導 第10章 介助としての手引きの方法 第11章 疑似障害体験 第12章 障害理解と社会