岡っ引きと共謀して事件を働いていた番方与力の不正と切腹を目の当たりにして、柳川卯一郎は密かに筆頭同心を目指し始める。だが、盗人一味を率いる小湊の平吉を捕縛する折に、焦りから上役と同僚が大怪我を負ってしまう。果たして卯一郎は南町奉行所の信用を取り戻せるか?(「悔恨の捕物」)。同心として成長していく卯一郎だったが、その活躍を逆恨みする者たちもいた。そのうちの一人、元芸者のお千は、醜男ながら凄腕の浪人・久松源吾郎の恋心を利用して、卯一郎を闇討ちしようとする。だが卯一郎と会ったことで、源吾郎の奥底には違った感情が芽生えていた…(「逆恨みの春夜」)。大きな飛躍となる好評シリーズ第六弾(全四話収録)。