昭和初期の東京下町に暮らすブリキ職人一家の生活をありのままに綴り、教師の指導記録を付して出版された豊田正子(1922‐)の文集(1937年刊)。多くの人々に深い共感をもって読みつがれ、映画・演劇にも取り上げられた記録文学の名作である。続篇の『続綴方教室』や『粘土のお面』からも10篇を抜粋して併せ収めた。