代々赤穂藩に仕えたが、浅野と吉良の刃傷事件の後、江戸・深川の裏店へ流れ着いた藤野親子。父は武士の体面を捨て、一心に働くも体を壊し絶望の中で生涯を終える。浪人暮らしを経て、念願の仕官が叶った息子を待ち受けていたのは、よそ者ゆえの残酷な使命だった-(「沙の波」)。お家断絶に見舞われた赤穂浅野家や三田九鬼家に生きた武家などの、哀切な矜恃と家族の絆を描く全五篇。
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