いつか、を夢見る若き下積み芸人達がたむろした町-浅草。そして、「世間からズリ落ちたような客ばかりで、正月ともの日と日曜日ぐらいにしか満席にならない浅草松竹演芸場」。誰もいない客席に向かって、漫才をつとめる男の眼に映ったあの時代がいま甦る。「週刊文春」連載時に好評を博した初の自伝的長篇小説。