風呂の攪拌(かくはん)棒を人にあげたがる女、鋸(のこぎり)を上手に使う娘、北の湖を下の名前で呼ぶフランス人、そして空気の抜けるような相槌をうつ主人公……。自覚のない(少しだけの)変人たちがうろうろと、しかし優しく動き、語りあう不思議なユートピア。柔らかな題名とは裏腹の実験作でもある、第1回大江健三郎賞受賞作。(講談社文庫)
第1回大江健三郎賞受賞作、ついに文庫化。フラココ屋というアンティーク屋の2階に居候暮らしを始めた「僕」。店長、常連さん、店長の孫たちなど彼を取り巻く人々と時間の流れを丹念に描く。連作短編集。