• Author中村丈夫氏軍事論集刊行委員会/編
  • Publisher彩流社
  • ISBN9784779111662
  • Publish Date2006年4月

クラウゼヴィッツの洞察

わが国左翼軍事学の最長老と目される中村丈夫氏の後半生の主な軍事論稿より、刊行委員会の責任で、43点を選び、まとめたもの。中村氏は、戦前かなりの水準にあった左翼軍事学を受け継ぎ、従軍経験も得て、戦後は、1950年代前半の日共軍事闘争に関わり、また70年代初頭の軍事を孕んだ激動にも対処してきた。この閲歴からも、論稿群の貴重さは了解できるが、特筆すべきことは、歴史主義的マルクス主義というべき理論的立場から、左翼軍事学の水準をかなりに引き上げたとことである。一貫してクラウゼヴィッツ兵学を擁護してきた氏は、その円熟期の力量をクラウゼヴィッツ研究に注ぎ込み、歴史篇、各論篇、現代篇として論述。その他の海軍兵学、日本内戦史、反軍闘争論、軍事情勢分析もおのおの、単著に値する豊かな内容をもつ。広闊な視野から、政治—軍事の一貫性をみつめる書、まさに軍事の原点を問い直す書である。

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