エマニュエル・レヴィナス-アウシュヴィッツという「異常な状況」を経験した現代人の運命と向き合い、他者や責任についての独自の思考を紡ぎ出した、フランス現代思想の巨匠。「世紀の証人」とも称される彼の思想の中枢を入門的に紹介しながら、フッサール、ハイデガー、サルトルら他の思想家との比較を通して、レヴィナスについての種々の通説を大胆に覆すとともに、慢性的な疲労やストレスに覆われた、私たちの「異常な日常」の諸相のなかに、レヴィナスの言葉を捲き込みつつ、この時代を、この日々を生きるための新たな倫理を探っていく画期的試み。