「発達心理学」のテキストには、乳幼児は一度にわずかしか記憶できないし、他者の視点の理解も不十分で、能力はごく限られていると説明されています。でも、子どもが持てる知性を存分に発揮できる状況をつくりだして調べてみると、まったく事情が異なるのです。本書は、世界中のさまざまな文化で行われた研究から、幼児の認知は、これまでピアジェたちが主張してきた姿とは違って、もっとずっと豊かであり、また、一律に発達するものでもないことを明らかにします。世界をまたにかけて研究してきた著者ならではの話題と軽やかな語り口で、楽しみながら認知発達心理学のホットなテーマがよく理解できます。