「花はかならずしも優しく、美しく、はかないといったものだけが、すべてではない。実に執拗で頑丈で、怪奇に満ちているものである。」草月流を抱えつつ、新しい創作活動を目指した勅使河原蒼風、そして、自らは一本の花も生けずに、池坊の発展に命を賭けた山本忠男、流派を飛び出し、自由な花の世界を作った中川幸夫と半田唄子、さらに、家元群の美しき後継者たち…。敗戦の焼け跡から蘇った華道界で生き残りを賭けた人々のドラマ、華麗な世界の舞台裏を通して日本文化のカタチを浮き彫りにする。新田次郎賞受賞。