米国人である著者が、北京の幼稚園で男女児の人数が圧倒的に違うのを目の当たりにし、妊婦がお腹の子が女の子だと知ると中絶するという話を耳にして衝撃を受け、綿密な調査を重ねてその真相を明らかにしたのが本書である。人口統計上、中国の子どもの男女比が不均衡であるのは確かであり、その傾向はインドやベトナムなどアジア全域、さらには東欧にも広がっている。その直接の原因は男子が跡を継ぐ家父長制や男性優位の社会背景であるが、安易に胎児の性別を判断できる技術が発達したこと、そして人口爆発による危機を回避するための人口抑制策が推進されたことなど、欧米諸国が深く関与していることを著者は洞察している。そして男女比不均衡が引き起こす社会問題について、外国人花嫁、売春婦の人身売買、暴力犯罪の増加など、赤裸々な実話を交えてその深刻さを訴える。