思い起こせば一九四五年八月一五日、当時の人たちは自分の国が滅亡したということを知らされた。戦争に敗れたということがどんなことになるのか、自分たちがこれからどうなるのか、誰もがまったく為すすべを知らないという有り様だった。そんな混乱の最中、祖国から遠く離れた満州という異国の地で、無惨にも難民となって投げ出された同胞を、一人でも多く、一日も早く、日本へ帰還させようと決起し、危険を顧みず実行実現した若き日の著者。本書は、貴重な記録である。