自然の調和 民族の「心」紹介 「アイヌ民族の素晴らしい自然観を知ってもらいたい」 福岡さんは小樽生まれ。旭川市内で高校教諭を務めていた1967年、旭川近郊に近文コタンがあることから、生徒とともにアイヌ民族の文化を研究。古老らとともに山に入って植物の生息状況を調べ、植物名の意味や草木にまつわる伝説などを聞き取り93年、「アイヌと植物」(旭川振興公社刊)にまとめた。 今回は「アイヌと植物」が売り切れ状態となっていることから、その後、集めた情報を大幅に加えて出版した。生活に密着した植物を重視したため、取り上げた植物は前回よりも七種類少ない86種。新たに上川地方で生活するアイヌ民族の四季の暮らしぶりに関する記述を入れた。 植物の微妙な生長から狩猟、採集の時期を知ることなどを記し「独自の誇り高い文化を生んだ」と、その生活サイクルを紹介。植物は「ウド=チマキナ(かさぷた・草)」と和名、アイヌ語名とその意味を併記し「茎をせんじ傷口を洗うと化のうを防ぎ、はれものを洗うとかさぶたがつかないからだ」と、アイヌ民族の古老から聞いた組物に関するエピソードを掲載した。 福岡さんは「アイヌ民族の文化を理解するには、彼らの『心』を知ることが大切。どんな考え方を持っているのかを分かってもらえればうれしい」と話している。 (1995.7.14 北海道新聞)