小売りにとって最も深刻なテーマを軽々とクリアしている企業がある。「無印良品」の良品計画と「ユニクロ」のファーストリテイリングである。前者はシンプルで機能的な生活提案企業として、団塊ジュニアをターゲットに高成長を続けているし、ユニクロに至っては、フリースやTシャツなどの強力な単品を売り切る力を誇示し、実に四回も業績の上方修正を重ねる爆発的な成長ぶりをみせている。両社とも業績の伸び、取り扱う商品群、SPAとしての収益構造など類似した要素が多く、高成長企業としての注目度も高い。本書で両社を取り上げるのは、表面的な比較ではなく、両社がそれぞれ目指す方向が、今後の小売りの生き残りの方向を指し示していると確信するからだ。彼らがどういう店舗展開、商品展開、イメージ戦略を取っているかを知り、それぞれの違いを見ていくことが、明日の小売業界の輪郭を知る手がかりになることは間違いない。