位牌を知らない人はいない。けれどその由来となると知らないのがほとんどだろう。同じく、法事にしろ焼香にしろ数珠にしろ戒名にしろ、正坐にしても、なぜ、日本人に受け入れられたのか、正しく答えられる者は少ない。仏教学の硯学はこうした疑問にどう答えるかが本書の醍醐味である。日本人が当たりまえに行っている仏教儀礼に、人間の不思議なたましいの営みが隠されている。位牌に秘められた真実が今初めて明かされる。