昭和十一年十月、パビナール中毒で入院中、太宰は聖書に耽溺した。「HUMAN LOST」「斜陽」「桜桃」など主要作品の鍵となる聖句の数々を取り出し、鮮やかに解析しながら、太宰にとっての神とは、罪障とは何かを問う。太宰文学にちりばめられた聖書の言葉を鍵に、生き急いだ生涯に新たな光をあてる画期的な書。