神様はイタズラが好きだ。赤毛のアンが籐のバスケットに頭をぶつけて失神し、アリスの夢のなかに遊びに行ってしまうような小説「第七官界彷徨」で知られる翠は戦前、恋にあこがれ、小説を道具にあこがれを恋に変える錬金術で数々の作品を発表。しかし戦中・戦後に消息を絶ち、筆を折ってしまう。ようやく60年代、70年代になって再び脚光を浴びる。今読むからこそ新しい、今だからこそ楽しい尾崎翠の世界。