きみの歌声が聞こえる。 ここが、私たちの辿り着いた世界である。 現代に生きる悲しみを綴った珠玉の作品集。 加藤治郎 自選短歌五首 羽をもつひとと静かな声をもつひとが出会える街路樹だった
噴水のつぶつぶのようわたしたち落ちてふたたび噴きあがるみず
波音がやまないのです朝も昼もふつうの顔をつけているのに
僕たちは生きる、わらう、たべる、ねむる、へんにあかるい共同墓地で
空洞も友となりゆくゆうぐれに濡れたドロップいろの信号
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