一月のお節は伝統としきたりの心を大切に、二月には寒さの中に春の訪れを待つ心で、三月雛の節句には春の華やいだ気分を盛り込み、四月花見の膳は春の寿ぎ。五月の膳では季節を五感で感じ、六月には涼感をポイントにし、七月は冷たさと温かさの取り合わせを考え、八月にはご先祖を迎える精進料理。九月の膳で暑さに疲れた心身をいやして、十月には実りの秋の滋味を味わい、十一月の膳で冬を迎え、十二月師走の膳に一年の感謝をこめる。季節を彩る十二か月の行事を中心に、おもてなしの心をこめた料理の作り方。食文化の真髄を伝える書き下ろし。