藩主に将来を期待された若者、伊吹左兵衛。しかし政変で藩主と、養父である家老が殺され、左兵衛も国を追われる。人生に倦んだ左兵衛は、やむなく江戸で用心棒となる。日々生きていくための、わずかな銭のために命を張り、同じような境遇の悪党を斬る。それだけの人間に過ぎない-そんな、虚無に陥った左兵衛が、故郷の政変の真相を含む、幕府に謀叛を企む闇勢力との戦いに巻き込まれていく。書き下ろし時代小説。