皇帝ロマノフ二世とその家族が西シベリア・エカテリンブルグで革命派によって銃殺されたニュースは当時世界を震撼させるものだった。だがこの事件は、近年その遺骸が発掘されるまで、その後七十年もの間なぜか歴史の闇の中に置き去りにされたままにあった。ソ連邦時代を通じて政府当局者さえその所在を知り得なかった事実は一体何を物語っているのだろうか。皇帝一家の遺骸発掘を契機に次々と明らかにされる記録や報道をもとに、隣国ロシアの知られざる歴史の暗部に光をあてる著者会心の力作。