本書は、著者が非行臨床に従事して20年目の区切りとなる二冊目の単著である。『犯罪白書』の執筆などの刑事政策研究に現在従事していることもあって、少年非行に関する社会の対応を含めたマクロ的視点が加味されたものになっている。新聞記事ひとつで少年問題全般が論じられることが少なくないなかで、みずからの臨床経験と客観的データをもとに、少年非行を素材として子どもの変質と大人の対応について、冷静に分析したいと考えたのが、本書執筆の動機である。非行のみならず、少年やその家族の援助にかかわる方に少しでもお役に立つことができれば幸いである。