悩みで胃が痛い
大事なプレゼンの前にトイレに行きたくなる
腑に落ちない
――誰しもが身に覚えのあるこれらの感覚、ここには、
体内で休まず交されている「見えない会話」が関わっていた。
ヒトゲノム計画からヒトマイクロバイオーム計画に移行した現代、
生命科学のトレンドとして注目を集めているのは「腸」。
腸管神経系(ENS)は「第二の脳」とも呼ばれ、
5000万~1億もの神経細胞から構成されており、
このENSと脳が常時やり取りしている厖大な情報が、
心身の健康維持にきわめて重要な役割を果たしている。
腸内マイクロバイオームの異変は、慢性疼痛、過敏性腸症候群(IBS)、
うつ病、不安障害、自閉症スペクトラム障害や、
パーキンソン病などの神経変性疾患に結びつく可能性がある。
脳-腸-腸内細菌の情報ネットワークの緊密さと重要性、
諸疾患と腸内細菌の関係、情動と内臓感覚、
健康な身体を維持するために実践したい食習慣などについて、
脳と腸のつながりの研究における第一人者が、わかりやすく解説する。