文豪川端康成が美術品のコレクターであったことは近年知られるところであるが、2017年、そのコレクションの中に膨大な書があることが判明した。
晩年、書に異常な執着を示していた川端康成は、自ら『雪国』の冒頭を直筆し、何点も書き残している。
同時に、かつての大家たち(藤原定家、隠元禅師、池大雅、富岡鉄斎など)、同時代の文豪たち(夏目漱石、高浜虚子、田山花袋、林芙美子、横光利一、高村光太郎、齋藤茂吉、生方たつゑなど)の書を蒐集し、あるいは目の前で書かせ、愛眼してきた。
本書は、書、その書についての川端の言葉、あるいはその作家と川端との交流など、多方面からの解説がついた川端康成の書のコレクション本である。