推古天皇の甥である厩戸皇子(聖徳太子)は、大臣の蘇我馬子から、ある話を持ちかけられた。それは、成文化された国史をつくる、ということだった。学識と才能に恵まれた厩戸皇子は、王位継承などのまつりごととは無縁の生活を送っていたが、この依頼に興味を抱き、作業を開始する。「古事記」「日本書紀」のもとになったといわれ、のちに焼失したという幻の史書の編纂を描いた時代小説。〈目次〉アマテラスオホヒルメおのごろ島のいざない神日出ずるところ磐余の天子葛城の高木の神