不知火海を見下ろす丘の上に水俣病センター相思社はある。
2004年の水俣病関西訴訟の勝訴にともない、「自分も水俣病ではないか」との不安を抱える数千の人たちが、いまも患者相談に訪れる。
著者は、相思社での患者相談などを担当する日常のなかで、自分の生まれ故郷でいまもタブーとされる水俣病事件の当事者たちと接するようになり、機関紙で「水俣病のいま」を伝えるための連載「患者相談雑感」を開始した。
本書は、本連載をもとに大幅に加筆して一冊にまとめた記録だ。
「やっと思いで語り出した人びとの声」がここにある。