敗戦の衝撃に茫然自失する戦後世界をランニング・シャツにパンツ一枚で走りぬけた男-坂口安吾。彼は一時期"戦後"の象徴だった。「堕落論」「安吾巷談」などで戦後文壇をはなやかにいろどり、やがてアドルム中毒のすえ狂気に追いこまれていく…。孤独の人安吾を捨身で支え、看護し、さまざまの事件の後始末に奔走した妻の座から、愛と悲しみをもって描き切った異能の作家の回想記。