神戸連続児童殺傷事件から20年あまり。いまだ少年への憧れを隠さない子どもがいる。その一人、名古屋大学元学生は知人女性を自宅アパートで殺害、高校時代には同級生にタリウムを飲ませた罪で無期懲役となった。「人を殺してみたかった」。少年Aも元名大生もそう口にした。だが社会はそんな少年たちの心の闇に正面から向き合ってきただろうか――。社会を震撼とさせた重大少年事件の加害者、被害者、双方の家族、司法関係者などを丹念に取材。事件の背景や加害少年たちの内面に迫ると共に、被害者家族の悲しみと苦しみ、加害者家族の過酷な現実を描き出した、渾身のルポルタージュ。少年法の適用年齢引き下げの議論が本格化するなか、少年事件の実相を知るために欠かせない一冊。