• Authorヘレン・トムスン 仁木めぐみ
  • Publisher文藝春秋
  • ISBN9784163909646
  • Publish Date2019年1月

9つの脳の不思議な物語

◎それは奇跡か、それとも病か?◎



かつて大学で脳を研究し、科学ジャーナリストとなった著者。彼女の趣味は「人とは違

う脳」を持った人々について書かれた医学論文を収集し、読み漁ること。だが、論文を

読むだけでは、患者の人となりは全く見えてこない。ある日、十年間集め続けた論文の

山の前で彼女は思った。「世界中で普通の人々に奇妙な事が起こっている。彼らはどん

な生活をしているのだろう?」――それが、「奇妙な脳」の持ち主たちを巡る旅の始ま

りだった。





【目次】



■序 章 「奇妙な脳」を探す旅へ出よう

大学で脳を研究していた私は、卒業後にある衝撃的な論文と出会う。この世にはどんな

命令にも必ず従ってしまう“ジャンパー”と呼ばれる人々がいるというのだ。彼らの脳

では一体何が起きているのか。それがこの旅の始まりだった。



■第1章 完璧な記憶を操る

──過去を一日も忘れない“完全記憶者”ボブ

これまでの人生の全ての日を覚えている。ごくまれに、そんな記憶力を持つ人々がい

る。その秘密を探るべく、私はボブを訪ねた。彼に最も古い記憶を尋ねると、なんと生

後九ヶ月の時の記憶があると言う。そんなことはありえるのか。



■第2章 脳内地図の喪失

──自宅で道に迷う“究極の方向音痴”シャロン

方向感覚は脳が生み出す最も高度な能力の一つだ。では、それを失うと人はどうなるの

か。それを教えてくれるのがシャロンだ。彼女は自宅のトイレからキッチンへ行こうと

して迷子になる。脳内ではどんなエラーが起きているのか。



■第3章 オーラが見える男

──鮮やかな色彩を知る“色盲の共感覚者”ルーベン

特定の数字に色を見たり、特定の音で味を感じる。こうした共感覚は四%の人に備わっ

ているとされる。中には特殊なものもあり、ルーベンは出会う人の多くにカラフルなオ

ーラが見えるという。だが不思議なことに、彼は色盲なのだ。



■第4章 何が性格を決めるのか?

──一夜で人格が入れ替わった“元詐欺師の聖人”トミー

「ドラッグ、窃盗、けんか。全部やったよ」と過去を振り返るトミーは、ある夜を境に

虫も殺せない穏やかな性格へと激変し、家族を戸惑わせた。人の性格は脳が決める。そ

の鍵は左脳と右脳ではなく、上脳と下脳のバランスにあった。



■第5章 脳内iPodが止まらない

──“幻聴を聞く絶対音感保持者”シルビア

幻覚は精

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