2018年の超話題作『極夜行』の“エピソード1”といえる、本番前に要した3年間の準備の旅。
2018年、ノンフィクション界の話題をさらった『極夜行』。太陽の昇らない冬の北極を一匹の犬とともに旅をし、4か月ぶりに太陽を見るという誰も真似できない大冒険を描いた作品でした。新作『極夜行前』はその名の通り、『極夜行』を完遂させるために要したプロセスを描いたものです。角幡さんは言います。何事にもプロセスが大事なんだと。本番の旅を迎えるためには3年の月日がかかりました。その間、毎年北極に行き、自分が計画している極夜の旅が実現可能なものなのか、様々な面から試行しました。いよいよ本番と位置付けた年の春~夏には、事前に自分と犬の食料や燃料をカヌーで遠くのいくつかの小屋に運びました。その過程ではセイウチ(海象)に襲われて危機一髪の局面もありました。この3年に何があったのかもぜひ皆さんに知ってもらいたい。そしてこの準備があったから『極夜行』が書けたのだということも。
『極夜行』と同様、一度読みだしたら止まりません。