せつなくも温かい少年少女の成長物語
世界大戦が終わって、少年たちは生まれた。
まだ誰も、そのあと「第二次」が起こるとは知らなかった頃――
ここは第二次大戦前のフランス。
ドイツとの国境に近い町。
いつも明るい少年モモが、
あきらめと悲しみにまみれた人々を少しずつ変えてゆく。
彼の笑顔と勇気は町の子供たちを動かし、
大人たちの丸まった背中にも、そっと寄り添うのだった。
しかしモモには、ある秘密があって……
差別と分断、見て見ぬふり、忍び寄る不安。
「やがて悲劇を迎える時代」に生まれた少年少女の、
切なくも温かい友情と成長の物語。
――誰かの「花」を、踏みにじることなかれ。
描き下ろしカラーイラスト4p収録!
【編集担当からのおすすめ情報】
『アルティストは花を踏まない』は、
新鋭・小日向まるこ氏の紙媒体デビュー作です。
あたたかで繊細なタッチと、キャラクターの豊かな表情、
色彩が浮かぶような陰影――
懸命に生きる少年少女の姿や
美しいフランスの町並みを、
描き下ろしカラーイラストとともにお楽しみください。
経済が冷え込み、世論は偏りを見せ、
人々の間には差別や分断が目立つようになった、
1930年ごろのヨーロッパ。
……そこには、現代の日本を垣間見ることができるかもしれません。