谷川俊太郎の一ファンが札幌に個人的な願望で谷川俊太郎を探検できるカフェを作った。詩的でぬくもりあるその「いい空気」に誘われて、そこにはいつしか様々な人が現れるようになる。そして独特のカルチャーが生まれていった。これは等身大の現在進行形の記録である(編集部)一人の詩人が書いた詩からカフェが生まれた!なんだかおとぎ話のように思えます。その詩人が賢治でも中也でもない、なんとこの俊太郎ですから、余計びっくり。けれどそれがおとぎ話ではなく、リアルで楽しい苦労話だということは、この本を開けばわかります。詩は基本的に作者と読者の一対一の関係で成り立つものですが、詩を味わう場はさまざまです。昔は書店での立ち読みは歓迎されませんでしたが、今では書店で読書できるスペースを設けているところも多い。書店の空間、書店で過ごす時間が、本を中心にしてゆったり豊かになってきているんです。「俊カフェ」もそういう時代の流れの中で、書店として本を売るだけではない、(でもこの本は買ってほしい)ささやかでもアイデアに満ちた活動、詩をきっかけにした老若男女の輪を目指してほしいと思います。 谷川俊太郎