あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る 額田王
熟田津に船乗りせむと月待てば潮もかなひぬ今は漕ぎ出でな 額田王
紫草のにほへる妹を憎くあらば人妻ゆゑにわれ恋ひめやも 天武天皇
我が宿のいささ群竹吹く風の音のかそけきこの夕かも 大伴家持
うらうらに照れる春日にひばり上がり心悲しも独し思へば 大伴家持
東の野にかぎろひの立つ見えてかへり見すれば月かたぶきぬ 柿本人麻呂
葦辺行く鴨の羽交ひに霜降りて寒き夕は大和し思ほゆ 志貴皇子
近江の海夕波千鳥汝が鳴けば心もしのにいにしへ思ほゆ 柿本人麻呂
み吉野の象山の際の木末にはここだも騒く鳥の声かも 山部赤人
ぬばたまの夜の更けゆけば久木生ふる清き川原に千鳥しば鳴く 山部赤人
石走る垂水の上のさわらびの萌え出づる春になりにけるかも 志貴皇子
など