「新しい社会的養育ビジョン」を背景に里親委託が推進されている現在,里親と委託児童についてはさまざまな検討が進んでいる。しかし,それ以外の里親家庭の構成員,特に里子受け入れで複雑な感情をもつであろう「実子」に関する研究は,ほとんどみられない現状である。本書は,これまで光が当たっていなかった実子に着目し,彼らがどのように里親家庭で成長するのか,折々にどのような意識を持つのかを,インタビュー調査から明らかにする。現在の里親家庭支援において「実子への視点」が欠けていることに警鐘を鳴らす,関係者必読。