あの街で、生きていたこと。今、ここにいること。 不在の人の気配が、あたたかな充足にかわっていく。ささやかな日常が、新鮮な情景となってよみがえる。(東 直子)
【自選短歌五首】 ライラック思い描けばえがくほどさようならこの手を離れゆく てのひらを風にかざしているようにさびしさはぶつかってくるもの 鳴き声を設定したらよさそうな亀のかたちの飛び石を踏む まっさらなノートのような思い出が音もなく降りこぼれる僕に ため息を眺めていたら指差したゆびが消えたら春の花々
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