音楽の神に愛された美青年、矢代俊一。恵まれた家庭、一流大学。その全てを捨て彼が選んだのは、場末のキャバレー。本物の音楽を知りたい、その欲求に突き動かされ演奏する俊一に、暴力団幹部の滝川は魅了される。俊一の音楽がいかに好きかを告白する滝川に、次第に絆されていく俊一。しかし仲間の裏切りにより、俊一は滝川の組からその身を狙われることに。殺せばいいと強がる俊一に、葛藤する滝川は……。天才への憧憬とどうしようもない現実をその筆であざやかに切り取って見せた、栗本薫の名作!