「水たまりをのぞいたら、そこに映っていたのは青い空だった」
べらぼうとは漢字で「篦棒」と書く。
「あまりにひどい」「馬鹿げている」「筋が通らない」といった意味の他に、端的に「阿呆だ」という意味がこめられているところが気に入った。
どうにもうまくいかぬ男の、十歩進んで九歩下がる日々をまるっと包みこんでくれるようで、あの頃の蒼白い顔をした自分に「よう」と呼びかける気持ちで、『べらぼうくん』とタイトルを決めた。(あとがきより)
未来なんて誰にもわからないのだ。
川べりを俯き歩く万城目青年は、いかにして作家としての芽を育てたか。
万城目ワールドの誕生前夜を描く極上の青春記であり、静かに深く届けたい人生論ノート。