児童精神科,小児神経科,療育センター等の親子面接の現場では,親と子の両方と良好な治療関係を作りながらちょうど良いタイミングで医学的なみたてや診断を伝え,治療・支援を提案していくプロセスは,治療者と親子が暖かみのあるポジティブな相互作用を形成していくうえで欠かせないが,その道のりは平坦ではない。本書は,親子が治療・支援を受けるまでに生じるさまざまな臨床的障壁を乗り越えて治療者と親子が可及的速やかに信頼関係を構築し,必要な治療や支援を受けるための動機づけをサポートするための“地図”としての機能を持てるよう,読者の実臨床の役に立つ親子面接のコツをかき集めるように執筆されている。若手医師をはじめ,困難を抱える親子と接する可能性のある看護師,ソーシャルワーカー,心理士など,日々奮闘されている様々な職種の支援者にとって,臨床のヒントになるであろう。