かつて混迷の政治の季節、虚飾にまみれたマルクスを救出するべく、その人物と思想の核心を根柢から浮き彫りにした吉本隆明。その営為は、敗戦体験を出発点に掘り下げられた思考の行程のひとつの達成を意味した。そして今、迷走する21世紀の"現在"、日本史上最大の思想家の手になる世界史上最大の思想家の実像が、再び立ち上がる。待望の文庫化。