戦国時代末期の乱世に発展した茶道文化は、書院茶と草庵茶という二つの流れをもって人々の間に浸透した。両者を統一し、大成したのが千利休である。相阿弥作とされる『長歌茶湯物語』をはじめ様々な資料を駆使して、茶道点前の成立、炭・灰の仕様、懐石料理の誕生などを具体的に論じ、珠光から紹鴎をへて利休に到る初期茶道の様相を鮮やかに再現する。次代のあるべき茶道界の姿をも示唆する好著。