「で、先生、いったい文学って何なんでしょう?」――飲み会での学生の一言から、根源的な問いへの答え探しが始まった。ゆりかごから墓場までエンタメまみれの現代、エンタメとはひと味違う本を読みたくなった時のプロモーション・ブックにして攻略本。
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「忙しさの合間に読む文学作品は、答えがないのに、いや、答えがないゆえに、我々が自分の魂と問答するためのよきカウンセラー役を果たしてくれる。自分の腹に落ちてくる答えは、結局己の心の中にしか存在しない。それを自ら発見するための触媒であり、同時によき見守り役にもなってくれるのが、文学ではないだろうか。」(本書より)
【収録内容】
第1章 おゝ、現代
1 ウンベルト・エーコ『薔薇の名前』
2 マクシム・ゴーリキー『どん底』
3 芥川龍之介「藪の中」
第2章 未来と科学
4 スタニスワフ・レム『ソラリス』
5 オールダス・ハクスリー『すばらしい新世界』
6 ベルトルト・ブレヒト『ガリレイの生涯』
第3章 不条理
7 ウジェーヌ・イヨネスコ『授業』
8 フランツ・カフカ『変身』
9 アルベール・カミュ『異邦人』
第4章 近代
10 E・M・フォースター『インドへの道』
11 魯迅「狂人日記」、「阿Q正伝」他
12 城山三郎『落日燃ゆ』
13 つかこうへい『熱海殺人事件』
第5章 個人
14 アントン・チェーホフ『かもめ』
15 ヘンリク・イプセン『ヘッダ・ガブラー』
16 テネシー・ウィリアムズ『欲望という名の電車』
17 石垣りん「表札」他
第6章 先進国病
18 ヘルマン・ヘッセ『車輪の下』
19 J・D・サリンジャー『キャッチャー・イン・ザ・ライ』
20 ミラン・クンデラ『存在の耐えられない軽さ』