他者にものを譲渡する「寄進」という行為は、中世社会のなかでいかなる役割を果たしていたのか。神仏が圧倒的な迫力をもって人間社会と対峙していた時代であることを踏まえつつ、在地領主や有徳人、宗教団体などを分析対象に、その実態に鋭く迫る。寄進によって生み出される新たな富や組織を明らかにし、地域社会に形成される権力のあり方をさぐる。